ビッグイシューの連載でおなじみの雨宮処凛(あまみやかりん)氏の『生きさせろ!〜難民化する若者たち』を読んで背筋の凍る思いをする。この本、本当は、ちょっといろいろと調べてみないと微妙だなと思う表現が散見されるのだけど、いったんあえて「鵜呑みにする」ことにする。
フリーターのホームレス化。漫画喫茶に住んだり、即日解雇が当たり前だったり、住居の即日退去すらあるんだそうな。こんなことあるのか・・・。
偽装請負の問題って、企業の違法性に焦点があたっていて、僕自身「法律を守らない企業は悪い」というような解釈に留まっていたのだけれど、実態は現場にあって、つまり法律で守られていない労働者が非人間的な扱いをうけていたりする。危険物を扱うのに正社員にはマスクが与えられるが同じ作業をしている請負労働者には与えられず、健康診断もないなど。
いろんなものが安く手に入る世の中になった。その裏側には、生きていけないぐらいの低賃金で使い捨てにされる人間がいる。
後半、痛快だったのは、フリーター労組の話。僕らの世代(団塊ジュニア)以降で労働組合や団体交渉なんてものに希望や期待を持っている人はいないんじゃないかと思う。過去のものという認識。それが、フリーターの世界では機能している。例えば、即日解雇を言い渡されたフリーターの相談を受けた「フリーター全般労働組合」が経営者に団交を申し入れ、見事、解雇を円満退職にし、2カ月分の給与を獲得してしまう。おぉ!
フリーター全般労働組合
もっと痛快なのが「貧乏人大反乱集団・高円寺ニート組合・素人の乱」。「家賃をタダにしろ一揆」や「俺の自転車を返せデモ」「すっぽかしデモ」など、思いつく限りのことをやっているような感じ。楽しそう。
それから、もう一つ面白いなと思ったのが「ベーシック・インカム(基本所得)」。国から無条件に一定のお金がもらえるというもの。生きているだけで例えば月額8万円もらえたりするというわけ。
人は(人だけじゃないかもしれないけど)生きているだけで価値があると僕は強く思っていて、例えば厳しい就職戦線で100社落ちてめちゃめちゃに人格否定されて、完全に自身を喪失してしまったニートも、生きているだけで価値があるから月額8万円。これ、結構良いんじゃないかと思う。詳しく述べられていないので調査が必要だけどこの8万円という数字も「すぐにできるという試算がある」らしい。
「働かざる者食うべからず」的な反発は容易に予想がつくけれど、そういうことができずに何が近代国家かと思う。
この本を読んでまた、モノを買うのが嫌になってきた。
『生きさせろ!難民化する若者たち
』雨宮処凛著、太田出版