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焼酎を好んで飲むようになったのはつい最近のことである。安くてまずい酒、何でもいいからアルコールが必要な人間の飲むものだと考えていた。「たまたま」を飲んで意識が変わった。近くの酒のディスカウントストアで安売りされている、この12年ものの麦焼酎には面白い話がある。もとは奥能登の杜氏が材料にこだわって造ったのだが、なかなか売れない。それでも、良いものを造り続ければいつか報われるものだとの信念で続けた。しかし売れない。そしてついにタンクがいっぱいになってしまいそれ以上造ることができなくなってしまった。そんな時に「たまたま」大阪の酒屋がそれを知り、買い取り、世に出すことになったという。タンクがいっぱいになってしまった杜氏のため息が聞こえるようでどこか淋しい。
香りが良く、味も爽やか。本当は千円ちょっとの値で叩き売られるような焼酎ではないのかもしれない。酒にこだわる居酒屋で飲む機会があるたびに、立派な酒どころの偉そうな名前がついた焼酎を頼んでみるがこの愛すべき安酒を越える焼酎には今だ出会っていない。
美味い醤油を一回しかけた冷や奴にも当然良く合う。
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